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赤ちゃん、子供の鼻水の吸い方 ~自宅で鼻水を吸引する時の正しい方法・注意点~

[2022.06.15]

4月から保育園や幼稚園に通園し始めた子達が、「鼻水、咳がずっとでています」「治ったと思ったらまた新しい風邪をもらったみたいで・・・」と受診されることが多い時期です。

今までお家にいて家族の方以外と接することが少なかった環境から、みんなが鼻風邪をひいているような、どこにでもウイルスがいる空間へ行くのでほとんどのお子様が同じように鼻風邪をひき始めます。特に、保育園の0歳児、1歳児クラスでははじめて出会うウイルスが多く、ウイルスの抗体が少ない時期なのでその傾向は顕著です。

耳鼻科を受診された際は、中耳炎になっていないか耳をみて、その後鼻水を吸い、のどを見ます。
耳鼻科にあるユニット(診察のための器械)についている吸引器は市販のものより吸引力が強いため、鼻閉が強くなければ気持ちよく奥まで鼻汁が吸えます。

 

その際に保護者の方から

「鼻水の吸引は自宅でもやった方がよいですか?」

「自宅にも鼻水を吸う器械があるのですが、何回やったらいいですか?」

など鼻水の吸引に関してご質問を受けることが多いので、今回は「赤ちゃん、子供の鼻水の吸い方」について説明します。

 

 

目次

・吸引器の種類

・吸引の方法

・吸引の頻度

・吸引して鼻血が出た時はどうすればよいか?

・吸引しても鼻水がでない時は?

 

吸引器の種類

インターネットで「鼻水 吸引器」と検索すると色々な形状のものが出てきます。
手動、電動、据え置きタイプ、ハンディータイプなどバラエティーに富んでいます。
それぞれ長所、短所があるのでどれが一番良いとは言いづらく、使いやすいものを選べばよいと思います。

私も自分の子供用に電動のものと親が口で吸って小瓶に鼻水が溜まるものを持っていました。耳鼻科医といっても自宅には耳鼻科用ユニットがあるわけではないので市販のものを使用していました。

電動のものは鼻水がよく取れますが、使用後の洗浄や片付けが手間なのと、音がブーンと大きく準備している段階で子供が逃げてしまうので大変でした。

その点、親が吸って小瓶に鼻水をためるタイプのものは小さく手軽で準備に時間がかからないのと、直前まで子供から隠せるのでよいのですが、かなりの確率で自分もウイルスを吸って風邪をもらうためそれなりの覚悟が必要でした。(コロナ渦になる前だったので、今よりも気軽にやっていました・・・)

 

吸引器によっては、吸引の先の形がいくつか変えられるものもあります。

先が膨らんでいるもの、細長いもの、台形のような形のものもありますね。

子供の鼻はとても狭く、特に鼻がかめずに鼻水がよくでる年齢である0-3歳くらいの子供の鼻に、吸引の先を奥までいれることはかなり難しいです。先の細いものは鼻粘膜にあたり痛いので余計吸引を嫌がる可能性が高いです。吸引の先は奥まで挿入できない膨らんだタイプ(オリーブ管)がお薦めです。下記の画像は医療用ですが、市販で同じような形状の製品があります。

 

 

 

吸引の方法

鼻はのどに向けて地面に水平に空間があります。そのため、吸引の先ははじめ地面に平行になるように向けた方が鼻水をよく引ける可能性が高いです。吸引の先を鼻筋にそって当ててしまうと、鼻の手前にある下甲介という粘膜に当たったり、空間が狭いために鼻水が吸いづらくなります。

初めは地面に水平に当てて、それから少し向きを上下に動かすと引けることが多いです。

 

 

吸引の頻度

「何回やったらいいですか?」

「やりすぎはよくないですか?」

「鼻水を吸いすぎて中耳炎になることはないですか?」

 

など頻度に関する質問もよく受けます。

 

大人が風邪を引いたときに「鼻水が止まらなくてティッシュ一箱使いました。」「一日中鼻をかんでいました。」ということがあるように、鼻を上手にかめない子供の場合には1日に何回鼻水を吸引しても構いません。

鼻水を吸引しすぎて害になることはないと思います。

また鼻水を吸いすぎて中耳炎になることはなく、鼻水が鼻の奥に溜まりすぎている方が中耳炎になりやすいです。しかし鼻を強くかみすぎて耳が痛くなることと同じで、強い圧で鼻水を吸引しすぎると耳が痛くなることはあるかもしれません。

 

さらに鼻水が出ていればいつ吸引しても構いませんが、寝ているときに鼻が詰まると苦しいので「寝る前」と、寝ている間に鼻水が溜まるので「起床時」に重点的に行うのが良いでしょう。

特にお風呂上りは、鼻粘膜が収縮していることが多いので、鼻水を吸うよいタイミングです。

 

 

吸引して鼻血が出た時はどうすればよいか?

鼻汁が多いときに鼻水吸引すると鼻血が出ることがあります。

鼻の粘膜が炎症を起こしているので、少しの刺激で出血しやすい状態になっています。

出血した際は焦らず、鼻翼(いわゆる小鼻のこと)をティッシュの上から10分程度抑えてください。

 

耳鼻科診察時も鼻吸引して鼻血が出ることがあります。

大抵は混濁してネバネバした鼻汁がたくさん出る時に出血します。

出血した際は「自分のやり方が悪かった」というより、「鼻粘膜の炎症が強いのだろう」と思うので怖がらずに鼻吸引して大丈夫です。

ただし毎回出血を繰り返す場合は一度耳鼻科で状態を確認した方がよいでしょう。

 

吸引しても鼻水がでない時?

鼻水が鼻の奥にありそうなのに、鼻吸引しても鼻水が引けないこともあります。

原因としては以下が考えられます。

鼻粘膜が高度に腫脹している時

アレルギー性鼻炎や感冒時に、下甲介粘膜といって一番手前の鼻の粘膜が高度に腫れてしまうと、鼻内のスペースが狭くなり鼻吸引しても鼻汁が引けないことがあります。その際は内服薬や点鼻薬で鼻粘膜の腫れを改善すると吸引しやすくなります。

 

副鼻腔炎

副鼻腔炎の時は、鼻汁が前(鼻の穴側)からではなく、後ろ(喉側)へ垂れやすいです。

副鼻腔と鼻腔の交通は比較的鼻の奥にあるので、鼻汁は鼻の突き当り(上咽頭)に溜まりやすく、また粘性の高い鼻汁のため鼻腔入り口から吸引しても吸えない事が多いです。

その場合は耳鼻科へ行って細長い吸引管を鼻の奥までいれて吸引するとよいのですが、小さなお子様や鼻腔の狭い方は痛みが強くできないこともあります。

いずれにせよ抗生剤が必要にある可能性が高いので耳鼻科受診をお薦めします。

 

アデノイド肥大

アデノイドとは、鼻の突き当りにあるリンパの組織です。

3-6歳くらいの子供はアデノイドが生理的に大きい時期ですが、特に肥大している子は鼻の奥を閉塞していることがあります。そうすると鼻汁が喉に落ちて行かず、常に鼻の奥に鼻水がたまってしまい、副鼻腔炎や中耳炎にも罹患しやすくなります。鼻で息をしづらいので、口呼吸にもなります。口呼吸は唇で前歯を抑えることができなくなるので歯並びにも影響します。

そういった子は、鼻吸引しても鼻の穴が閉塞しているので空気自体が吸えません。

 

「いつも鼻水が奥に絡んでいて、口を開けていて、しょっちゅう中耳炎にもなる」という場合は、一度鼻腔ファイバーでアデノイドの大きさをチェックするとよいでしょう。

 

鼻の中がとても狭い

特に生まれたばかりの赤ちゃんは鼻の穴がとても狭いので、鼻水が粘っこくなると鼻が詰まって苦しそうになります。鼻の穴が狭く少量の鼻水でも苦しくなるので、少しでも鼻水吸引して鼻汁が取れれば楽になるとは思いますが、吸引だけでなく蒸しタオルの蒸気を吸ったり、生理食塩水などを鼻に垂らして鼻水を柔らかくするだけでも楽になったりします。

 

鼻水が続くお子さんにおすすめの記事

鼻水は保育園(もちろん幼稚園も)に通わせる保護者の方の共通の悩みです。
0歳~1歳で保育園に通いたての頃は特に鼻水がすぐに出て、すぐに熱を出し、保護者の方は仕事の調整に追われ冷や冷やしながら過ごすことも多いのではないでしょうか。
初めの1年はほとんど保育園に通えなかったという話もよく聞きます。

幼稚園児も同様に鼻水が止まらなくて困ることがあると思いますが、一番難渋するのは、やはり保育園通いたての2歳未満の子供達かと思います。(※保育園児と限定するわけではありませんが、あくまで傾向が強いということです。自宅保育でも兄弟が保育園や幼稚園で持続的に鼻水がでていると、同じように鼻水が止まらないこともあります。)

この鼻水を止めることはできるのでしょうか?

 

続きは下記リンクから【院長コラム】の記事をご覧ください。

子供(特に保育園児)の鼻水は治る?近年、アレルギー性鼻炎の低年齢化が進んでいるのが原因かも

 

保育園に行き始めると、しばらく鼻水に悩まされる日々が続くかと思いますが、ウイルスに対する抗体がつけばいずれ鼻水が出なくなることがほとんどなので、上手にセルフケアと病院を活用して切り抜けてください。

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