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アレルギー性鼻炎・花粉症

概要

アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のⅠ型アレルギー性疾患で、発作性反復性のくしゃみ・水様性鼻汁・鼻閉の3つが主な症状です。原因となる抗原はハウスダスト、ダニ、スギ・ヒノキ科の花粉など多数あります。

2008年に行われた調査ではアレルギー性鼻炎全体の有病率は39.4%、そのうち花粉症は29.8%、その中でもスギ花粉症は26.5%であり、国民の4人に1人が花粉症を患っているという結果でした。1998年に実施された調査と比較し、スギ花粉症の有病率は10年間でおよそ10%増加しています。特に近年では小児の花粉症有病率が増加しています。

人の鼻や目では、侵入してきた物質(抗原)を自分以外の物質(異物)と判断すると、これを無害化しようとする反応(抗原抗体反応)が起こります。その結果、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がでてくる病気をアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎と言います。花粉症は体内に入った花粉に対して人間の身体が起こす抗原抗体反応です。免疫反応は身体にとって必要な反応ですが、免疫が過剰に反応するとくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が強く出すぎて生活の質が低下します。

花粉の量・開花時期

スギやヒノキは4月以降に新しい葉が伸び始め、例年6月から秋にかけて成長します。この時期の日照時間が長く、気温が高いと雄花の量が多くなり、逆に冷夏や長雨の場合は雄花が少なくなり、翌年の花粉の量に影響を来します。雄花は11月頃までに完成し、中に大量の花粉が作られます。その後低温や昼間の時間が短くなることによって活動を休止する休眠に入ります。一定期間低温にさらされることで休眠から目覚め、開花の準備期間に入ります。この開花準備期間の気温が高い暖冬の場合は早めに開花し、寒冬の場合は開花が遅れます。

検査

アレルギー性鼻炎の原因抗原が何かを調べる必要があります。エピソードから推測することもできますが、簡便に出来る検査として血液検査によるアレルギー検査(特異的IgE抗体検査法:RAST)があります。スギ、ヒノキ、ハウスダスト、ダニ、ブタクサ、カビ、イヌの毛、ネコの毛など多数の項目を調べることができます。

また、アレルギー性鼻炎の場合は鼻汁中の好酸球の数が増加するので鼻汁好酸球検査で調べることができます。

治療

花粉症の治療として以下の選択肢があります。

内服薬

第二世代抗ヒスタミン薬

第二世代抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎の第一選択薬です。薬の種類が多く、効き目や眠気の出やすさ、用法(1日1回か1日2回か、食前か食後か)などそれぞれの薬剤に特徴がありいずれも即効性があります。

 

抗ロイコトリエン薬

鼻閉が強い場合は抗ロイコトリエン薬が効果的です。連用することで効果が出てきます。

眠気はありません。

 

ステロイド剤

上記薬剤でコントロール不良な場合、最重症の場合には短期間に限り使用することもあります。ステロイド剤は血清コルチゾール低下や血糖値の上昇など副作用が多いため、メリットが上回る場合以外は連用は避けた方が良いでしょう。

 

漢方薬

アレルギー性鼻炎に対しては小青竜湯が効果的です。漢方薬は連続使用しないと効果がでないと考えられがちですが、小青竜湯は即効性のある薬です。プラセボとの比較対象試験も行われており、有効性が証明されています。

 

点鼻薬

鼻噴霧用ステロイド薬

点鼻薬では主に鼻噴霧用ステロイド薬を用います。ステロイドは一般的に連用することで副作用を来すものが多いですが、鼻噴霧用ステロイドは局所への効果が強く、吸収されにくく、さらに吸収されてもすぐに分解されるため、一部の製品を除き1年以上連用しても全身的な副作用は少なく、効果は確実です。効果は1~2日でみられますが、長期連用により効果が上がります。

 

点鼻用血管収縮薬

アレルギー性鼻炎の鼻閉に対して使用されることがあります。アレルギー性鼻炎の鼻閉は鼻粘膜のうっ血、浮腫、結合織増生などによりおこります。点鼻用血管収縮薬はうっ血に効果的で即効性があります。しかし連続使用により効果の持続は短くなり、逆に血管が拡張してかえって腫脹し、さらに使用回数が増えるという悪循環に陥ります(薬物性鼻炎)。そのため使用は短期間に限定する必要があります。

 

下甲介粘膜焼灼術(CO2レーザー)

(※当院では行っておりません。)

アレルギー性鼻炎で鼻閉を来す際には下甲介粘膜という鼻内の粘膜が腫脹しています。その部位をCO2レーザーで蒸散させることにより、物理的に開放するスペースが増え鼻閉が改善します。粘膜は再生するため、効果には個人差がありますが数年で元の状態に戻ります。

 

アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法

アレルゲン免疫療法には皮下免疫療法と舌下免疫療法があります。皮下免疫療法は注射のため頻回の通院が必要なこと、まれながら重篤な全身性副作用を認めることから、近年保険適応となった舌下免疫療法の普及が進んでいます。

 

舌下免疫療法は、治療薬を舌の下に投与します。

1日1回少量の治療薬から服用しはじめ、その後は決められた一定量を数年間にわたり継続して服用します。初めての服用は、医療機関で医師の監督のもと行い、2日目からは自宅で服用します。

適切に治療を行った場合、治療開始から2年後より高い効果が期待できます。3年以上継続すると、治療中止後も長期にわたり有効性の持続が期待できます。

 

現在(令和2年)はスギとダニアレルギーに対してのみ舌下免疫療法の適応があります。

重症気管支喘息や全身ステロイド薬や抗腫瘍薬、高血圧などでβ遮断薬を使用している方は適応になりません。

 

 

予防

抗原を体内へ取り込まないように予防することも重要です。

花粉の場合、以下の項目が予防として重要です。

  • マスク
  • メガネ
  • 服装
  • 手洗い、うがい、洗顔
  • 室内の換気、洗濯物の部屋干し
  • 花粉の多い日、時間帯の外出を避ける。花粉は昼前後と夕方に多く飛散します。

 

マスク

 マスクの装用は吸い込む花粉の量をおよそ1/3~1/6に減らす効果があります。

性能の良いマスクでは95%以上の花粉をカットできるものもありますが、大事なことは顔にフィットするものを選ぶことです。また、マスクの内側にガーゼを当てること(インナーマスク)でさらに鼻に侵入する花粉を減少させることができます。

 

メガネ

通常のメガネでも、使用しない場合に比べて眼に入る花粉量が40%減少し、防御カバーのついた花粉症用のメガネではおよそ65%減少します。花粉飛散期にコンタクトレンズを使用すると、コンタクトレンズによる刺激が花粉によるアレルギー性結膜炎を悪化させる可能性があるため、メガネに替えた方が良いとされています。

 

服装

室内に花粉を持ち込まないために、外出時は花粉が付着しづらい服装を選びましょう。

一般的にウール製の衣服は木綿や化繊と比較し花粉が付着しやすいため、特に一番外側に着る羽織はウール素材の衣服を避けることが望ましいです。

 

手洗い、うがい、洗顔

外から帰ってきたら体に付着した花粉を落とすことが効果的です。うがいは喉に流れた花粉を除去する効果があります。また鼻の中を生理食塩水で洗う鼻うがいも花粉を落とす効果があります。顔面、頭髪にも花粉が付着するので帰宅後すぐにシャワーを浴びて全身の花粉を落とすことも有効です。

 

室内の換気と掃除

花粉飛散シーズンに窓を全開にして換気すると、大量の花粉が室内に流入します。窓を開ける幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすることで屋内への流入花粉をおよそ4分の1に減らすことができます。

また洗濯物は室内に干すことで、花粉流入を減らすことができます。最近は室内干し用の洗剤もありますので利用しても良いでしょう。

 

花粉の多い日、時間帯の外出を避ける

花粉は昼前後と夕方に多く飛散します。

花粉が多い日とは以下の日です。

  1.  晴れて、気温が高い日
  2.  空気が乾燥して、風が強い日
  3.  雨上がりの翌日や気温が高い日が2~3日続いたあと
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