【受診予約システム】 ~上手に使って待ち時間の短い受診に・予約システムにかける院長の思い~
今回のコラムは医療的なことではなく、当院の予約システムについて皆様にお伝えしておきたいことを書いていこうと思います。
かなりの長文で申し訳ありませんが、読んで頂ければ当院の予約システムの上手な使い方のヒントになるかと思います。
開業時に掲げた想いである耳鼻咽喉科の
「怖い」「痛い」「待ち時間が長い」というイメージを
「優しい」「痛くない・丁寧」「待たない・待つことが苦にならない」
に変えたい。と今でも思っています。
「待ち時間が長い」→「待たない」は空いているシーズンなら可能ですが、混んでいる時には何かしらの対応が必要で、そのためには予約システムの効率的な運用が不可欠となります。
これは開業当初から悩ましい問題で、今までに何度もスタッフと話し合い、試行錯誤を行ってきました。(現在の予約システムは3社目のものです)
目次
1,現在の予約システム・運用について ~院内の待ち時間は短くできる~
2,今までの試行錯誤 ~今のシステムに至る前に2回会社を変えている
3,順番予約の難しいところ
4,皆さまへのお願い
1.現在の予約システム・運用について
耳鼻科は他の診療科と比べて年齢層が幅広い科です。
生まれたての赤ちゃんから、ご高齢の方まで実に様々な症状で受診されます。
小児科のように小さなお子様の風邪症状で来ることも多い一方で、ご高齢の方の補聴器相談なども行っており、すべての世代に対応できる予約方法が必要とされます。
現状当院には以下の3つの予約・受診方法があります。
①時間帯予約
②順番受付
③直接来院
時間帯予約や順番受付については、当院HPに詳しく説明しているのでここでの説明は割愛します。
(時間帯予約や順番受付のより詳しい説明はこちらへ→受診・予約方法)
ここでは直接来院の運用について深掘りしていきます。
当院はネットやスマートフォンをお持ちでない方にも対応できるように直接来院の枠を設けています。
現在は順番受付5人につき1人の枠を設けています。来院して受付すると番号をお伝えするので、呼ばれるまでに時間がかかりそうなら外出することも可能です。
ネットからとれる順番受付の上限に達して番号が取れない場合でも、受付時間内に「直接来院して」受診することは可能です。
(※年に数回、午前診療が午後診療の時間まで伸びそうなときは直接来院もお断わりすることがあります。午後診療もキャパシティーを超えると直接来院をお断わりする可能性はあります。)
ただし直接来院された方の枠は5人おきなので、朝一に直接来院でほぼ同時に3人受付したとしてもお呼びする順番は大きく異なります。
そして、いくら朝一に直接来院して受付しても9時の時間帯予約や順番受付で番号の早い方の方が早く呼ばれることになります。
たまたま院内に順番受付や時間帯予約の方がいない場合は、一番で直接来院した方が早く呼ばれることもありますが、毎回同じようには行かないということをご了承頂ければと思います。
順番をとって外出される方やネットで順番受付を取られた方に以下の注意点があります。
「順番になりお呼びした時にいらっしゃらなかった場合に、お呼びしてから30分経過すると自動キャンセルとなり、受付にいらっしゃったとしてもその時点で直接来院扱いになってしまいます」
逆にお呼びした時に院内にいらっしゃらず、30分以内に来院された場合はどうしているかというと、その時呼び出している番号の数人後に戻しています。
この対応にも賛否両論あり、昨年(2023年)に受診された患者さんにアンケートを取り意見を聞かせて頂いたことがあります。
今後変わる可能性もありますが、現在は6人後に戻しています。
これを何人後にするかこの塩梅が非常に難しいのです。
よくあるご意見としては、
「電車の遅延などで事前に連絡した人はペナルティー無しにして欲しい」
「遅れた理由を聞いて、やむを得ない理由ならすぐに呼んで欲しい」
逆に、
「呼び出ししていなかったら、今院内で待っている人の中で一番最後に回してほしい」
「その場にいなかったら即キャンセル!」
などなど。
おっしゃる気持ちもよくわかります。
オペレーションを複雑にするほど、判断するスタッフによって差が出たり、前回の判断と異なる判断をしたり、受付での時間が余計にかかり、結果として不公平になってしまいます。
以前はお呼びした時に院内にいない場合でも1時間以内であれば自動キャンセルにせずに、順番受付の数人後に戻していました。
なぜ30分以内に変えたかというと、
不在の方を立て続けに順番受付の列に戻すと、院内で早めに来られた方の前に次々と割り込むことになり、院内で待っている方が延々と呼ばれない、またwebから見た際に番号が全然進まなくなってしまいました。それでかなりクレームを頂いたため、30分以内としました。
自動キャンセルのルールがないと、
「とりあえず番号だけ取っておいて、あとは好きな時間に行けば、だいたい6人後くらいには呼ばれるから、その方が都合良い。」
ということになり、順番受付の意味をなさなくなってしまいます。
ここも何分で自動キャンセルにするかの塩梅が非常に難しいですが、今のところは30分で運用しています。
今後も状況によっては変更するかもしれません。
運用の注意点として、もう一つ。
「診療時間を過ぎて、院内に誰もいらっしゃらない場合は、順番受付された方がいらしてもご連絡せずに診療終了となります」
外出された方、ネットで順番受付をされた方はご注意下さい。
13時や18時を過ぎると時間帯予約の方がいなくなるので、順番受付の進みが早くなります。また午後診療終わり頃は医師が二人体制になる日もあり、より注意して進み具体を確認し早めに戻ってきて頂ければと思います。
「院内での待ち時間が1時間以上だった」というご意見を頂くことがあります。
直接来院の方か、順番予約の方からのご意見ですが、確かに直接来院の場合はそのままお待ちいただくと1時間どころか2時間くらい呼ばれないこともあると思います。
そのような状況であれば、是非外出して頂きたいと思います。
外出先でネットから順番をみて、戻ってきて下さい。
順番予約の方も同様です。
5番目前くらいに戻ってくれば、よほど検査終わりの方やイレギュラーな状況でなければ1時間以上院内で待つことはないのではないかと思います。
2.今までの試行錯誤 ~今のシステムに至る前に2回予約会社を変えている~
今の予約システムにする前に、当院では2つの会社の予約システムを導入しました。
~開院当初~ 完全時間帯予約
開院当初は順番受付を行っておらず、すべて時間帯予約で運用していました。
今の予約システムの会社ではなく別会社のものです。
今の時間帯予約とは違い1時間で10枠程度あり、当日も予約を入れることができ、予約した時間帯の間にいつ来ても良い、という運用でした。
こちらで予め設定しておくと、感冒症状やアレルギー診療は1枠、めまい診療は3枠など診療内容によって必要枠を設定することが出来たので、症状によってある程度の診療時間を確保することができました。
ちなみに今の時間帯予約は30分で2枠・予約時間帯の5分前には受付する、という運用です。
開院当初のシステムだと、受診する側は大体どの時間帯が空いていそうかが分かり、受診時間の目安もつけることが出来ました。
当初はこのシステムで問題なかったのですが、受診人数が増えてくると予約時間内にお呼びすることが出来ず、9時、10時台まではよいものの、11時台くらいから大幅に遅れて患者さんに迷惑をかけるようなっていきました。
また同じ時間帯の予約の方でも同じような時間に数人受付すると呼ばれる時間が20分くらい異なることもあり(同じ時間帯では来院順に呼んでいました)、受診する側としては不満に思われることもありました。
そこで開業後半年ほどで次の予約システム会社へ替えました。
~2つ目の予約システム~ 時間帯予約・順番受付の併用
時間帯予約の機能は残しつつも、順番受付で番号順に呼べる、時間帯予約・順番受付併用ができる会社に替えました。
時間帯予約は時間内に呼ぶことが原則であり、それを可能にするには枠を絞ることです。
ただ、それだと一日に受診できる人数が大幅に減ってしまうので、順番受付を併用する形としました。
両者が混同しないためにも、時間帯予約は前日までに予約できる方法、順番受付は当日に予約をとる方法と分けました。
花粉シーズンなどの繁忙期にも順番受付の方はネットから順番を見て来て頂くので、院内での待ち人数は予約人数に対して多くはなく、比較的スムーズに運用できるようになりました。
システムも使いやすく満足はしていたのですが、だんだん繁忙期に当院のキャパシティーを超えてしまうことが増え、患者さんをお待たせしていることが気になり、スタッフが疲弊することも増えていきました。
さらにより多くの患者さんに効率良く、そして質の高い診察を受けて頂くためにもWeb問診の導入を図り、次の予約システム会社へと替えました。
~現在の予約システム~
この予約システムに変えたのは、予約機能とWeb問診を連携することができること、LINEと連携ができることでした。
LINEと連携することで、呼び出される数人前にLINE通知を流すことができます。
何人前にメールを送るか、というのも院内で簡単に操作することができるので、その日の混雑状況をみて操作しています。
順番受付の番号は、今呼ばれている番号だけではなく、これから呼ばれる番号も以前のものより多く表示するようにしました。
事前にWeb問診を行うとカルテに添付されるため、こちらが状況把握する時間やカルテ作成にかける時間が短縮され、診察の質を下げずに、診察することが出来るようになりました。
開院当初から受診されている患者さんは、予約を取ろうとしたら会社が変わっていた!ということがあったと思います。度々のご登録有難うございました。
3.順番受付の難しいところ
このように試行錯誤を行ってはいるものの、どうしても院内のオペレーションが乱れることがあります。そのしわ寄せが一番来るのが順番予約です。
理由はいくつかあります。
「患者さんによって診療時間が大きく異なるので、呼ばれる時間が読みづらい。」
「よく、だいたい何分くらいかかりますか?」と受付で聞かれます。
外出される場合は、だいたいの目安が欲しいのでそういった疑問は当然でてくると思います。
しかしこの質問はとても答えるのが難しいです。
3人後とかであれば目安時間が大幅にずれることはないのですが、15人後くらいになってくると正直、正確な時間をお答えすることは難しくなります。
例えば、花粉症シーズンでみんな花粉症の方で、検査などもなにもなければ30分後に呼ばれるかもしれません。
難聴やめまいなど検査が必要な方が多ければ2時間以上かかることもあります。
お一人にかかる時間は早ければ1分、長ければ15分くらいかかり、患者さんの病態によって大きく異なるのです。
一応、こちらもある程度の目安がわかるようにネットから予約を入れて頂く際に、「アレルギー性鼻炎」、「耳垢」、「めまい」などの大まかな項目も選択して頂いているので、今日はアレルギーの方が多い、難聴で検査になりそうな方が多い、などのざっくりとした把握は出来るのですが、同じ耳垢をとるにもすぐに終わる方も入れば、10分以上かかる場合もあり、人数が多ければ多いほど時間が読めないのです。
「検査後に2回目の診察が必要な方がいるので、なかなか番号が進まないことがある。」
例えば難聴や耳閉感、めまいの方などは、一度診察室でお話を聞いてから聴力検査やめまいの検査を行い、検査後にまた診察室で結果をお話しする必要があります。
そうすると、時間帯予約でも順番予約でもない(もともとは時間帯予約や順番予約ですが)、検査後の方が診察室に呼ばれる状況がでてきます。
運が悪いと、
時間帯予約→難聴の検査後の方→時間帯予約→インフルエンザ迅速検査後の方→順番受付
と、次呼ばれると構えていた順番予約の方がなかなか呼ばれない事態が発生します。
なるべくそうならないように、調整はしていますが時間帯予約は時間内に呼ぶようにしており、また具合の悪い方は早くお帰ししたいなどの理由からなかなか順番受付の方を呼べない場面があります。
それに関しては、「本当に申し訳ありません。」の一言です。
スタッフみんな一生懸命頑張っておりますので、「今日はそういう日なんだな」と思っていただけると助かります。
ちなみに、2回診察室に入る必要があるケースは
・難聴、耳閉感、めまいで問診後に検査を行い、検査結果の説明を行う
・迅速検査後
・舌下免疫初回投与後
・鼻血や耳垢の除去の処置中断の方
などがいらっしゃいます。
難聴やめまいの方はなるべく待ち時間が増えないように、問診の状況次第では先に検査に回って頂くこともあります。
「ネットで順番予約はたくさん入っているのに院内に誰もいないことがある。」
これは土曜日の早めの時間帯や、平日午後4時頃によく起こる現象です。
ネット受付が上限に達するくらい予約が入っているにも関わらず、院内に誰もいない!誰も来ない!ということがあります。
そんなときにパラパラと先の番号の患者さんが来られた場合は状況によって対応しています。
108番の診療後に、109、110が院内におらず110番以降がいらしたら109、110は飛ばします。
でも108番の診療後に、109以降が院内におらず、直接来院された120番の方がいらしたらさすがにその前の番号の方を全員飛ばすわけにはいかないので、番号を反映させずに120番の方を呼び入れることもあります。
例えば、
今呼んでいる番号が113番。
これからよばれる番号が 109、110、111、112・・・と表示されている場合はどういう状況でしょうか?
これは108番以降の方がだれも院内におらず、早めに到着した113番が呼ばれたということで、「みんな早く来て下さい!」という私からのメッセージです。
ただこれをすると、114番の方が自分は次だと思って焦ってきたら、番号が戻っていた!と言われてしまうので、このメッセージを出すか迷いどころです。
誰も院内にいない時間帯があると、当然そのあとがとても混雑しますので、時間に間に合わなそうな場合は電話で一報入れて頂けると、後ろの患者さんのためにも助かります。
ご一報頂いても院内呼び出し時間を過ぎて30分以内であれば予約キャンセルにはなりません。
「急に番号が飛ぶように見える。」
「急に番号が飛ぶ」というご意見もよく頂きます。
これは、こちらではどうすることもできず。
決して混乱させたいわけではありません。
先程の説明と重複しますが、
ご家族受診の方をお呼び出しした際にいないと、3人なら3つ番号を飛ばし、次の方をお呼びすることになります。
ご家族でなくても、呼び出し時に1番目、2番目の方がおらず、3番目の方がいれば、1番目、2番目の方の番号を飛ばします。
特に夕方の時間など、ご家族受診が多いとどんどん飛ばすことになり、それでも院内に次の番号の方がすでにいらっしゃると急に番号が進んでしまうことがあります。
兄弟受診で耳掃除や風邪症状の場合も一度に人数分の番号を進め、また診療時間も出入りが少ない分早く進んでいく傾向があります。
4.皆さまへのお願い
予約システムは突き詰めれば突き詰めるほど、何が一番良いのか非常に悩ましいです。
この4年間、色々と考えてきて、
結局のところ、クリニック側だけの努力では限界があると思いました。
そこで、こちらから受診する皆さまへお願いがあります。
1.順番に間に合うようにお越しください。
特に2人、3人などご家族でいらっしゃる場合、お子さん連れなどで大変だとは思いますが、呼び出しまでにいらっしゃらないと急に番号が進む原因になりますので、番号に間に合うようにお越しください。
自分より前の番号が呼ばれており、すぐに来れなさそうな時は電話でご一報頂けると幸いです。
呼出し順番が乱れると、いつ呼ばれるかがさらに分からなくなってしまい、ネットで番号を確認しながら待機して頂いている後ろの患者さんに混乱を招くことになってしまいます。
ご協力の程、よろしくお願いいたします。
2.事前にWeb問診の入力にご協力下さい。
予約受付して番号を取った後にも問診を入れることが出来ます。
耳垢除去のみ、など経過がない時はご記載不要ですが、
風邪症状などで
「5日前に熱
4日前から喉の痛み、鼻汁
3日前から咳が止まらない。」
など、なるべく簡潔にご記載頂けると助かります。
カルテにそのまま反映されるので、文章よりも箇条書きに近い形の方が有難いです。
できれば「金曜日から○○、土曜日に○○、」など曜日ではなく日付か〇日前などの時系列でご記載お願いします。
3.時間がない方は極力、時間帯予約をご利用下さい。
順番受付はどうしても時間通りに進まないことがあります。
お忙しい方、定期的な受診や急がない症状であれば時間帯予約をお薦めします。
順番予約はリレーのように番号を繋いでいくことで、皆さまが受診しやすいクリニックになると思います。
お願いばかりで恐縮ですが、当院の予約システムをご理解頂き、上手く活用して頂ければ幸いです。
10月からは時間帯予約、順番受付にプラスしてインフルエンザワクチンの枠が追加されます。
クリニックスタッフ一同、頑張っていきますので宜しくお願い致します。
予約システム・運用にかける熱量が強くてかなりの長文になってしまいました。
最後までお読み頂き、有難うございました。
現在受診後にアンケートも行っておりますので、より良いクリニックにするためにお気軽にご意見・ご感想をお聞かせいただけば幸いです。