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顔面神経麻痺

概要

顔面神経麻痺は表情筋を支配する顔面神経が障害されることで以下の症状を起こします。

・顔が動かしづらい

・飲み物が片方の口からこぼれる

・顔を洗う時に目を閉じられない

・額のしわや口元のしわがなくなる

・口の位置が傾いている

・音が耳に響いて聞こえる

・味覚がおかしい

・目が乾く

・耳の周りが痛い

顔面神経麻痺が生じると片側の顔の動きが悪くなります。多くはある日突然片側の顔動かしづらくなります。
コップで水を飲んだら片側の口から漏れる、目が閉じられないなどの症状で気づかれることが多いです。

原因は多岐に渡りますが、最も多いものはベル麻痺で60-70%、次いで多いのがハント症候群20-30%です。それ以外は外傷や腫瘍、中耳炎による麻痺、先天性麻痺などがあります。

ベル麻痺(Bell麻痺)

ヘルペスウイルスの一種である単純疱疹ウイルスが発症に関与していると考えられています。顔面神経麻痺の60-70%がベル麻痺によるものと言われています。単純疱疹ウイルスはほとんどの人が小さい頃に罹患していますが、このウイルスが体の神経細胞に潜んでおり、何かのきっかけで活動を開始すると神経の炎症が起こり麻痺を生じます。ウイルスが潜んでいる顔面神経は耳の奥にあり、周りは骨で囲まれています。そこに炎症が生じると神経が浮腫を起こし周囲の骨に圧迫されて血流障害を起こします。病気の初期にはまだ生き残って一時的にしびれが起こっているだけの神経線維もありますが、病態が進むと圧迫によって多くの神経線維が死んで(変性)しまいます。

日本において年間発症率は人口100万人あたり約300人と言われており、決して珍しい疾患ではありません。

ハント症候群(Ramsay Hunt 症候群)

原因は水痘帯状疱疹ウイルスです。ベル麻痺と同様の機序で神経障害を起こします。ベル麻痺よりも神経障害が強いことが多く治りづらいのが特徴です。
顔面神経麻痺の症状に加えて、聞こえづらさ、めまい、耳たぶの腫れ、耳の痛みを合併します。
すべての症状が揃うこともありますが、多くは一部の症状のみで、時間を追って少しずつ症状が出たりします。

治療

副腎皮質ステロイド

顔面神経に炎症が生じ、神経に浮腫、血流障害を来すことで顔面の筋肉が麻痺します。
血流障害が進むと神経線維が死んでしまう(神経変性する)ため、それまでの期間に神経の炎症を治めることが重要です。神経変性するまでの期間がおおよそ10日から2週間と言われており、一度変性すると神経線維を再生させることは困難です。

神経の炎症を取るために副腎皮質ステロイド剤が効果的で、そのためはいかに早くステロイド剤を内服するかが非常に重要です。ステロイド剤は色々な効果を持つ反面、副作用も多数知られています。特にコントロール不良な糖尿病、高血圧、胃潰瘍の方は病状が悪化する可能性があります。
またB型肝炎ウイルスに罹患したことのある方や気づかずに感染している方は肝炎が劇症化する可能性があるため注意が必要です。B型肝炎ウイルスに罹患したことがあるかどうかは血液検査で抗体を調べることができます。

抗ウイルス薬

ハント症候群の場合は抗ウイルス薬も併用します。

ビタミン剤・血流改善剤

神経の栄養であるビタミン剤や血流障害を改善させるために血流改善剤を併用します。

点眼薬

目が閉じられないため、角膜の乾燥が起き角膜炎になることを防ぎます。

マッサージ

麻痺している筋肉は動かしていないため凝っていきます。長期間筋肉を動かさないと筋肉が萎縮し神経が再生しても十分に動かせないことがあります。その予防のために筋肉をマッサージしてほぐしておきます。
しかし強すぎたり間違ったやり方をしたりすると、かえって顔の動きが悪くなることもあるので指導のもとに行う必要があります。

顔面神経減荷術

耳の神経の入っている骨を削り神経の圧迫を減圧することで、神経を栄養する血管の血流を元に戻り、神経の変性の予防と再生を促進される治療法です。全身麻酔下での手術となります。
麻痺の程度が強い方限定の治療で、専門の病院で行う必要があります。

行ってはいけない治療法

他にも民間療法はたくさんあり、中でもハリ治療のうち刺した針に電気を流して筋肉を刺激する治療(低周波治療)は、顔面の麻痺が回復してきたときに筋肉のこわばり(拘縮)が強くなってしまうことがあるので注意が必要です。

治療中の注意点

・目が閉じられないため、目が乾燥します。点眼薬をこまめに使用して下さい。

・冷たい風に当たらないようにしてください。

・無理に顔を動かすことや顔の筋肉を使う動きは避けてください。(子供の場合ストローは使用しないように。口笛、吹奏楽、風船ふくらましなど)

後遺症

・不全麻痺     顔の筋肉が十分に動かせない

・病的共同運動   顔の筋肉は動かせるが、ばらばらに動かせていた目や口の周りの筋肉が連動して一緒に動いてしまう。

・拘縮       顔の筋肉にこわばりや違和感がでる。

・ワニの涙症候群  食事をしようとすると涙が出る。

・アブミ骨筋性耳鳴 顔を動かそうとすると耳の中で音がしたり違和感が出たりする。

顔の動きは発症後2-3ヵ月で一旦よくなっても、半年後に病的共同運動が現れ悪化したようにみえることがあります。例えば、目を閉じると口元が引き連れる、口を動かすと目も同時に動くなどの症状がでます。

病的共同運動をなるべく起こさないために、顔が動くようになってきたら顔面の筋肉を動かすトレーニングを行います。ミラーバイオフィードバックといって、鏡を見ながら目をつぶらないようにして口元を動かしたり、口元を動かさないようしたりして目を開閉します。

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