耳垢(みみあか・じこう)、耳かき・耳そうじの注意点
概要
耳垢とは鼓膜・外耳道の古くなった表皮が新陳代謝で毎日少しずつ外へ運ばれ、垢になっているものを指します。途中皮脂腺からの分泌物や毛も混じります。
基本的に耳には自浄作用があるため何もしなくても耳垢は自然に体外へ排出されます。
耳掃除は奥側の耳垢を取り出すのではなく、外側まで出てきたものをふき取る程度で十分です。
奥まで綿棒などをいれた場合、出てこようとしている耳垢を押し込んでしまい、かえって耳垢が溜まりやすくなります。
綿棒ではなく、細い竹や木、金属製のものもありますが、硬い素材の物は外耳道を傷つけやすく、感染し炎症を来すことがあります。外耳道の炎症が生じると激しい痛み、耳漏、難聴を生じ通院する必要があります。
耳垢が溜まりすぎて中耳炎や外耳炎になること心配される方がいらっしゃいますが、実際は耳かきのし過ぎで外耳炎になる方がほとんどです。中耳炎は鼓膜に穴が開いていなければ耳垢で生じることはありません。
耳掃除は心地よい感覚があり、ついついやりすぎてしまうことがありますが、耳の健康のために習慣化するのはやめましょう。
耳垢除去が必要な場合
耳垢で鼓膜が見えない場合
特に痛みを言葉で訴えられない年齢の子は、耳垢で鼓膜が見えないと中耳炎があるかどうか判断できません。
発熱で小児科の夜間救急を受診した際に耳垢で鼓膜が観察できず、熱の原因として中耳炎があるか判断できなかったという事が良くあります。
中耳炎になりやすい方、中耳炎になりやすい月齢のお子様は時々耳鼻科で耳掃除を行うと安心です。
湿性耳垢の方
耳垢にはカサカサした乾性耳垢とベトベトした湿性耳垢があります。どちらの耳垢のタイプかは遺伝や人種によって決まります。日本人は約8割が乾性、西洋人は約8割が湿性と言われています。
湿性耳垢の場合、耳垢が外耳道を完全に閉鎖することがあります。乾性耳垢でも耳に水が入りふやけて完全閉塞することはありますが湿性耳垢の方がその頻度は高いです。耳垢で外耳道が完全に閉鎖されると、耳栓を入れているのと同じ状態で聞こえが悪くなります。
「シャワーの水が耳に入った後から、急に聞こえづらくなった」という方は耳垢が原因で難聴が生じている可能性が高いです。
ご自宅で取ろうとするとどんどん奥に詰め込んでしまうため、耳鼻科で専用の器械を使用し除去する必要があります。
怖くないよ!耳掃除
子供にとっては慣れない場所で見慣れない他人に処置をされるのですから、クリニックでの耳垢取りはとっても怖いものです。当院では小さいお子さんが少しでも安心して通えるよう環境に配慮して診察を行っています。
漫画の道具は耳垢鉗子(じこうかんし)といい耳垢を取る専用の道具です。緻密な構造で耳垢にはこれが無いと綺麗に取れません。時々お子さんがはさみと思って怖くなってしまうのですが、はさみのように何かを切るのではなく、耳垢を挟む道具なので安心して処置を受けてください。お子さんの耳垢が安全に取れるかどうかは十分な設備も必要ですが、一番重要なのはじっとしていられるかどうかです。怖がってしまう場合は保護者の方に抱っこして頂くので、その時の固定がしっかりとできるかどうかが耳垢除去のキモとなります。
お子さんの抱っこの方法
一人で診察が難しいお子さんは、図のように保護者の方が抱えて診察を受けてください。
1,保護者の方は背もたれに寄りかかり、深く腰掛けてください。
2,正面を向くように、お子さんを膝の上に乗せます。
3,お子さんの手を体の前でクロスして手を持ってください。
4,自分の足でお子さんの足を挟んでください。
お年寄りの方へ
ご高齢の方で耳の自浄作用が弱まっている方は耳垢で外耳道が閉鎖することもあります。最近聞こえが悪くなってきた、という方は耳垢が原因のこともあるので一度診察をお勧めします。
下記の難聴と認知症についての院長コラムも参考になると思います。
【加齢性難聴・補聴器】最近、耳の聞こえに不安を感じることはありませんか?認知症の予防に70歳を過ぎたら一度聴力検査を
Q.耳掃除はいつしたらよいですか?
人気の院長コラムです。
【ベタベタの湿性耳垢】正しい耳かき・耳掃除の方法をご存じですか?そもそも耳かきは必要?【カサカサの乾性耳垢】
家庭で耳掃除を行う時にカリカリ・ゴソゴソいう箇所があれば、つい全て取ろうとやりすぎてしまうことがあります。その結果皮膚を傷つけて痛みや耳漏を伴う外耳炎になる場合もあります。
耳には自浄作用があり耳掃除を積極的に行う必要性は無いと言われていますが、中には耳垢が外耳道を完全に塞いでしまう耳垢栓塞(じこうそくせん)になっている方もいます。子供の場合、耳垢栓塞であっても耳の異常を訴える方は多くありません。これは耳栓をしているのと同じ状態なので、気づかないうちに難聴の原因にもなります。
耳垢栓塞を防ぐため、家庭では時々誰かにライトで耳の中を照らしてもらい耳垢が溜まっていないかチェックしてもらうことも有用です。
奥に大きな耳垢がある際は、綿棒で書き出すことは難しく奥に押し込んでしまうため、耳鼻科での除去をお勧めします。
最後に院長が耳かきについて地方紙向けに執筆した記事を紹介します。